インバウンド集客の効果的な方法とGoogleビジネスプロフィール活用法

外国人観光客の増加にともない、日本の飲食店や観光施設、小売業などが「インバウンド集客」に本格的に取り組むようになりました。
特に九州エリアでは、福岡や長崎といった都市に多くの訪日観光客が足を運んでおり、地域経済にとって観光客の利用は重要な収益源となっています。
しかし、「インバウンド対策って一体何から始めればいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、効果的なインバウンド集客の方法を解説するとともに、Googleビジネスプロフィールを活用した具体的な施策をわかりやすく紹介します。
情報をわかりやすく整え、正しい運用をするだけで、たくさんの観光客を呼び込むことができる可能性があります。それでは早速始めましょう!
インバウンド集客が求められる背景
新型コロナウイルスの影響を受け、一時的には観光やビジネス目的での外国人の来日が減少しましたが、規制の緩和とともに再び外国人観光客が増加しています。
観光庁のデータによると、2023年以降、毎月訪日観光客の数が大幅に回復し、特にアジア圏からの訪問者が多い状況にあります。
訪日外国人が地元の飲食店や観光名所、ショッピングスポットをインターネットで探す中で、Googleマップや検索結果の表示がカギを握っています。
ここで利用をおすすめしたいのが「Googleビジネスプロフィール」です。この無料ツールを活用すれば、九州エリアに訪れる観光客への情報発信も簡単に行うことができます。
Googleビジネスプロフィールとは何か
Googleビジネスプロフィールとは、企業や店舗の情報をGoogleマップや検索結果に掲載できる無料ツールです。
自分のお店や施設の情報を登録することで、ユーザーが特定キーワードで検索した際に、店舗情報が検索結果に表示されやすくなります。
たとえば、訪日外国人が「Fukuoka ramen」で検索した際に地元のラーメン店が上位に表示されれば、そのお店の集客につながります。
Googleビジネスプロフィールでは、次のような情報を掲載できます。
Googleビジネスプロフィールでできること
- 店舗名や住所
- 営業時間
- 高品質な写真や動画
- メニューや商品情報
- 口コミとその返信
「無料でここまで?」と感じるほど多機能なツールですが、効果を引き出すためには正しい設定と運用が必要です。
Googleビジネスプロフィールの設定手順
Googleビジネスプロフィールをまだ登録していない方は、以下の手順に従って簡単に始めることができます。
1. Googleビジネスプロフィール公式サイトにアクセス
Googleの公式ページ(https://www.google.com/business/)にアクセスしましょう。
すでにGoogleアカウントを持っている場合は、それを使用してログインしてください。新しくアカウントを作成することも可能です。
2. 店舗情報を入力
必須となる情報を正確に入力してください。この段階での入力ミスは後々の検索結果に悪影響を及ぼす可能性があるため、慎重に進めましょう。
入力すべき情報
- 正式な店舗名
(例: Sushi Nagasaki、別府湯けむりカフェなど) - 正確な住所
できるだけ詳細に記載し、建物名や階なども省略せずに入力しましょう。 - 営業時間
休業日の設定も含めて正確に入力してください。
3. 運営者確認を実施
Googleは登録内容を確認するために、郵送または電話で本人確認を求めます。郵便を選択する場合、数日後に「確認コード」が記載されたハガキが届きます。このコードを管理画面に入力して確認を完了させます。
4. 詳細情報を追加・編集
管理画面から、写真や説明文、サービス情報を追加しましょう。九州の特産品や観光地らしさを感じられる魅力的な情報を盛り込むと、訪日観光客へのアピールにつながります。
インバウンド客向けに設定を最適化する方法
ただ情報を登録するだけでは十分ではありません。訪日観光客にとってわかりやすい情報提供を行うことで、具体的な集客効果が見込めます。
言語対応を強化する
外国人観光客向けの情報発信には、複数言語を用意することが必要です。Googleビジネスプロフィールは基本的に自動翻訳が標準搭載されていますが、翻訳の精度に課題がある場合もあります。
言語設定のおすすめ手順
- 自店舗をGoogleマップで検索
- 左上のメニューアイコン(≡)から希望の言語を選択
- 「情報の修正を提案」をクリック
- 正しい翻訳や簡潔な入力を心がける
特に英語での情報提供は必須です。英語だけに限らず、中国語(簡体字・繁体字)や韓国語も対応しておくとアジア圏からの観光客に効果的です。
英語での情報入力のコツ
外国語で情報を記載する際は、以下のポイントを意識して入力を行いましょう。
店名の登録
公式の店舗名が日本語の場合、ローマ字か英語訳で登録します。
- 日本語名: 博多ラーメン一番
- 英語名: Hakata Ramen Ichiban
正確な住所
住所は略さずに正式な表記を使用します。特に番地や建物名が正しいことを確認してください。例として、福岡市天神にあるお店の場合は次のように記載します。
例
- 1-1-1 Tenjin, Fukuoka City, Fukuoka
- 大丸天神ビル5階
固有名詞である「大丸天神ビル」は現地で認識しやすいため、日本語で残すほうが望ましいです。
メニューや商品説明
メニューに関する情報を英語で記載する際には、食品名やアレルギー情報も明記すると親切です。
例
- Tonkotsu Ramen (pork bone broth base)
- Contains: Wheat, Soy, Pork
観光客が安心して注文できるようになるため、結果的に集客力が高まります。
口コミ対応のポイント
訪日観光客にとって口コミは意思決定する際の重要な判断基準となります。そこで、口コミへの効果的な対応を心がけることが大切です。
良い口コミへの返信方法
口コミがポジティブである場合は、シンプルかつ感謝の気持ちを伝える返信を行いましょう。
例 “Thank you for visiting our restaurant. We hope to see you again!”
ネガティブな口コミへの返信方法
悪い口コミが投稿された場合も冷静に対処し、他のお客様からの信頼を損ねないよう進めます。
対応手順
- 口コミの内容を正確に確認
- ユーザーへの謝意を示す
- 改善策を簡潔に伝える
返信例
“We apologize for the inconvenience caused during your visit. We will work hard to ensure this doesn’t happen again.”
インバウンド集客にさらに差をつける工夫
訪日観光客の増加に対応するため、基本的なGoogleビジネスプロフィールの運用だけでなく、特別な工夫が求められます。九州という地域ならではの魅力を最大限に生かし、多くの観光客を引きつけるために、次のような取り組みを強化しましょう。
観光シーズンを意識したプロモーション
九州には、季節ごとに魅力的な観光シーズンがあります。福岡の春の桜、熊本の夏の花火大会、大分の秋の紅葉、鹿児島の温泉地の冬など、それぞれの地域には観光客の興味を引く要素が豊富です。これらのシーズンに関連した投稿をGoogleビジネスプロフィールにてタイムリーに発信することで、観光客の来店率を大幅に向上させることができます。
プロモーション投稿の例
- 春(桜シーズン)
“Hanami season is here! Enjoy our special Sakura-themed desserts in Fukuoka!” - 夏(祭りシーズン)
“Cool off with our handmade shaved ice after watching the Kumamoto Castle fireworks.” - 秋(紅葉)
“Experience autumn with warm cider and seasonal sweets in Yufuin.” - 冬(温泉シーズン)
“Relax in Beppu and enjoy our hot spring-inspired local delicacies.”
写真の活用
投稿に実際の写真を添付することで、季節感やそのお店ならではの雰囲気をダイレクトに伝えることができます。投稿をする際は高品質な画像を用意し、ユーザーの目を引く内容にしましょう。
地域文化や特産品をアピールする
九州はご当地グルメや特産品が数多く存在することで知られています。訪日観光客の多くは、観光時の食事やショッピングを通じて地域の文化を体験したいと考えています。そのため、地域性を意識した情報提供が非常に効果的です。
地域特化型の情報発信
- 店舗がある地域の特産品や歴史を紹介するコメントを添える。
- メニューや商品に九州産の食材を使用している場合は、わかりやすく記載。
例
- “Using fresh pork from Kagoshima, our Tonkatsu is a must-try!”
- “Our restaurant features Kumamoto’s famous Akaushi beef.”
地域イベント連携
地元で開催されるイベントや観光名所と連動性のある投稿を心がけ、訪日観光客に向けた特別プランを提供するのも有効です。
外国人観光客が好む情報を事前に準備する
Googleビジネスプロフィールの情報に加え、観光客が興味を持ちやすい情報を提供しておけば、選ばれる可能性が高まります。特に以下のような情報は、外国人観光客にとって重要なポイントといえるでしょう。
1. 無料Wi-Fiと支払いオプション
外国人観光客にとって、店舗でWi-Fiが使えるかどうか、またクレジットカードや電子決済に対応しているかは重要です。これらに対応している場合は、積極的に情報を掲載しましょう。
投稿例
- “Free Wi-Fi available for our guests. Enjoy a comfortable experience while you dine!”
- “We accept Visa, MasterCard, and Alipay for your convenience.”
2. アレルギー対応
訪日観光客の中には、宗教的理由やアレルギーで食べられない食材がある方もいます。そのため、料理に使用している材料について記載することが決め手となる場合もあります。
例 “Menu available with vegetarian and gluten-free options. Please ask our staff!”
3. 公共交通機関でのアクセス方法
場所がわかりやすいことは、観光客にとって大きな安心感につながります。お店が最寄り駅やバス停からどのようにアクセスできるかを明確に記載しましょう。
世界の訪問レビューサイトとの連携
外国人観光客の多くは、旅行前にTripAdvisorやYelpなどのレビューサイトをチェックします。それらのプラットフォームにも積極的に情報を掲載し、Googleビジネスプロフィールとの一貫性を持たせることで、信頼度が向上します。
登録のメリット
- レビューサイトを活用することで、多くの訪問者がGoogle検索やGoogleマップ以外でも店舗や施設情報を閲覧可能。
- 口コミが増えることでさらなる認知度向上が期待できます。
注意点
- 複数のプラットフォームでの情報が一致しているか定期的にチェックしましょう。情報のばらつきがあると信頼度が低下する可能性があります。
- 評価コメントが投稿されるたびに適切な返信を行い、透明性と誠実さをアピールしましょう。
口コミの重要性を再確認
口コミの数や内容は、訪日観光客が店舗を選ぶ際に大きな影響を与えます。高評価を得ようとする意識だけでなく、口コミを見た観光客が「次に訪れたい」と感じるような環境づくりが大切です。
ポジティブな口コミを増やす取り組み
注文時や会計時に「お気に召しましたら、Googleで口コミをお寄せください!」という日本語や不慣れな英語表現では、意図をしっかり伝えることが難しい場合があります。そのため、より具体的で簡潔な表現を使うと効果的です。
英語での口コミ依頼方法
観光客がスムーズに口コミを理解してくれるように、簡単で親切な表現を心がけましょう。
シンプルなフレーズ例
- “We’d love to hear your feedback! Please leave us a review on Google.”
(ご意見をいただけると嬉しいです!ぜひGoogleで口コミをお願いします。) - “If you enjoyed your experience, please share it on Google Reviews!”
(お楽しみいただけたなら、お気持ちをGoogleレビューでシェアしてくださいね!) - “Enjoying your meal? Let others know by leaving us a Google review!”
(お食事を楽しんでいただけましたか?お客様の声をぜひGoogleレビューでお知らせください!)
ネガティブな口コミの場合
ネガティブな口コミを放置してしまうと、他のユーザーに悪印象を与える可能性があります。短時間で誠実な返信を行い、改善に向けたアクションを示すことが信頼されるポイントです。
定期的な運用で継続的に集客力を高める
インバウンド集客の効果を最大化させるためには、「一度設定して終わり」ではなく、定期的なメンテナンスと運用が必要です。情報が常に新鮮で正確である状態を保つことで、検索結果や口コミの上位表示につながります。
毎月行うべきチェックリスト
項目 | 内容 |
---|---|
営業時間や休業日の確認 | 繁忙期や臨時休業日があれば、事前に更新。 |
新しい写真の公開 | 季節メニューや店内模様を定期的に撮影してアップ。 |
口コミのモニタリングと返信 | ポジティブな投稿には感謝の意を、ネガティブな投稿には改善策を返信。 |
投稿の更新 | イベントやキャンペーン情報を週1〜2回のペースで追加。 |
この運用を継続することで、訪日観光客にとって選ばれるお店や施設へと成長していくことができるでしょう。
訪日観光客は年々増加しており、Googleビジネスプロフィールを活用して得られる集客効果は若い世代からシニア層まで幅広く影響を及ぼします。今回の記事でご紹介した方法を一つずつ実践し、九州地方ならではの魅力を外国人観光客に訴求していきましょう!

